私が経験した労災の年金に関するやるせない出来事と注意点の情報共有をさせて頂きます。労災の傷病年金を受給している状況で復職するときは傷病年金が停止され、症状固定していないと障害年金にも切り替えられないので、労災での年金受給はどちらもなくなるので気を付けましょう、という話です。なお、ブログタイトルは記事作成時の「2019春」としていますが、2018年に経験した話です。 ( 傷病年金の概要はこちら ⇒ 傷病(補償)年金について( 厚生労働省のページ ) )
私は労災で脊髄損傷を負ったのですが、その合併症の褥瘡に悩まされており、入退院と職場の休職、復職を繰り返しています。
まず、脊髄損傷受傷後に症状固定して労災の障害年金を受給していました。その後、再再発(2回目の褥瘡)での入院時に傷病年金に切り替わりました。これは最初の入院時(脊髄損傷受傷時)に180日経過していたためです。(実際には当初は休業給付になったが、労基にいろいろ聞いていたら労基のミスで本来、再発した時点で傷病年金に切り替えるべきだった、ということで後から手続きを修正した。)
その後、症状が固定したら傷病年金から障害年金に戻すのですが、復職する人は注意が必要なのです。私は休職期間が長く、早く復職したかったので、症状固定しないままある程度のところで退院して復職して定期的に通院していました。そしてある時気づいたら傷病年金が切られていました(何か通知があっと思うがおそらく見落としていました)。症状固定していないので当然、障害年金も申請できません。症状が固定していない状態で復職したら障害年金と傷病年金のどちらも受給できないのです。再発前は働きながら障害年金を受給していたのですが、それより悪い状態で職場復帰して受給できない状況になるのです。ということでどちらも受給できない期間を経て(ウン百万円分)、症状固定した後、障害年金の申請をして受給しました。
これは労働意欲を妨げかねないおかしな制度だと思って管轄の労基に聞いたら、傷病年金に切り替える基準は明記されているけど、傷病年金を取り消す基準は明記されておらず、各管轄の労基の判断で決めている、とのことでした。実際、私も取り消しの基準は見つけられませんでした。私の管轄の労基では傷病年金へ切り替えるときの条件から外れたら取り消す、とのことでした。傷病年金への切り替えは休業給付申請時に労基が判断するのですが、復職したら休業給付を申請しないので傷病年金の条件から外れる、とのことでした。それなら無職の人や復職しない人はどうなのかというと、休業給付を申請する状況にあるらしく(実際にはしないですけど)、傷病年金が切れないとのことでした。実際に退院後、勤務先の規定により復職許可が出るまで自宅待機していた期間は傷病年金を受給していました。
ご参考までに上記の休業給付から傷病年金に切り替える基準とは下記のものです。
新労災則18条の2、19条の2関係を引用します。
(四) 廃疾等級の認定手続等
イ 休業補償給付の支給を受ける労働者のうち、療養開始後一年六箇月を経過している長期療養者から、その一年六箇月を経過した日から一箇月以内に傷病の状態等に関する届書(告示様式第一六号の二)に医師の診断書(年金通知様式第二~四号)等を添えて提出させ、この届書により(届書の提出がない場合又は届書の内容が不十分な場合には、さらに、主治医に対する照会等適宜傷病の状態に関する調査を行った上)廃疾の程度を認定し、傷病補償年金を支給することとするか、引き続き休業補償給付を行うかどうかを決定する(新労災則第一八条の二)。
ロ イの場合において、引き続き休業補償給付を支給されることとなった労働者からは、毎年、一月一日から同月末日までのいずれかの日の分を含む休業補償給付の請求書を提出する際に、請求書に添えて、傷病の状態等に関する報告書(告示様式第一六号の一一)を提出させること(新労災則第一九条の二)。また、提出された報告書の内容から当該労働者が廃疾等級に該当するに至っていると認められるときは、ただちに傷病補償年金の支給の決定を行うこと。当該報告書の提出がない場合又はその内容が不十分な場合については、前記イに準ずる。引用元:厚生労働省サイト
労基としては療養の範囲が広い傷病年金より、療養の範囲が狭いアフターケアと障害年金にさせたいのかな、と足りない頭なりに感じました。私のような脊髄損傷者は色々な合併症で再発を起こしやすく、療養範囲だけでなく、その度に面倒な手続きが不要な傷病年金がよいのですが。逆に労基は一時金をエサにしているのかしら、とも思ってしまいます。
無知は危険です。自身に関係する労災の重要な制度は知っていたつもりなのですが落とし穴がありました。症状が固定したか否か、またその時期は医師が判断するのでどうしようもないですけど、復職の時期は自分の判断と勤務先の都合などである程度決められます。今回の私の場合はたまたま年金が止まることをもし知っていたとしても症状固定を待たず復職していたでしょうが、諸般の事情により判断が変わることもあると思います(あるいは復職計画はそのままで経済面での変更))。私と似た状況の方も多いと思われ、ご参考になれば幸いです。