車椅子ユーザージョナサソのおまけの人生

脊髄損傷を負い車椅子利用者になった男やもめの一人暮らしとか

2020夏 褥瘡治療のためストーマを造設することになった

褥瘡治療で長期入院中ですが、ストーマ(ストマ、人工肛門)を作ることになりましたのでそれまでの経緯とか記録しておきます。もし、あれでしたらご参考にしてください。

1. 長期入院中の現状と主治医との転院の相談

 脊髄損傷(L1、完全麻痺)でお尻に感覚がなく、おそらく車椅子とか便座に長時間座り、除圧がうまいことできていなかったために褥瘡が出来ました。座骨の肛門近くでなかなか治りません。

 今回の入院は2019年1月からです。一度縫合手術をしたのですが治らず、その後、保存的治療をしているのですが全く治る雰囲気もありません。主治医に状況を聞くと大抵いつも「少しずつ良くなっている」との回答をもらうのですが、そうは思えません。

 転院は長い間悩んでいたのですが、下記の理由で言い出せないでいました。
 ・褥瘡は受け入れてくれる病院がないかも(治療の技術がない、入院が長期化する、再発しやすいなどの理由)。
 ・転院先がなくてこのまま入院させてもらう場合に気まずい。
 ・自分には身内が近隣にいないので転院作業がけっこう大仕事。
 ・労災の手続きが面倒。
 ・入院中の病院では自家用車の駐車が可で時々外出して所用をこなせているが、他のほとんどの病院は入院中の駐車は不可。

 しかし、いつまでもこの状態でいるのはまずいので思い切って主治医に転院を希望している旨を告げました。気まずい感じになるかと思っていたのですが、いろいろ紹介先も相談に乗って頂きました。主治医もこちらが切り出すのを待っているかのような気さえしました。追い出すようで転院をもちかけづらかったのかもしれません。なお、セカンドオピニョンというやり方では「今の治療方法で間違ってない」とか言われても先に進みそうにないので初めから転院を前提に相談しました。

2. 転院先の候補と受診結果

紹介状のイラスト
 結果的にいくつかの病院に相談することになりました。

◆R病院(→受診後、なんやかんやあって受け入れ不可)
 隣の県にある大きな総合病院です。ホームページに褥瘡治療のことが詳しく記載されていて、主治医に紹介状を書いてもらい外出してここをまず受診しました。実家の近くにあるので入退院時はマイカーを実家に停めてそこから介護タクシーでも利用すれば交通費もそんなにかからなさそうです。
 受診の結果、手術はできるが、経験上、遅かれ早かれ100%再発するので退院後のケアが心配であり、退院後は自宅の近くの病院で定期的に診てもらう必要がある、とのことでした。長時間の通院が褥瘡の再発につながりかねないということで。現在入院中のM病院とは別の市内の大きめのJ病院(ホームページを見て自分はずっと候補外にしていた)に電話して頂いたら、J病院でも褥瘡の手術の実績はある、とのことで通院を前提に一度受診する流れでR病院にJ病院への紹介状を書いてもらいました。その後、以下に記載の通り、なんやかんやでR病院は受け入れ不可となりました。
 なお、労災の手続きとしては今回の受診に様式16-4「療養給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」が必要だったのですが、準備が間に合わなかったので後日郵送しました(自己負担額ゼロ)。

◆J病院(→受診拒否)
 自宅から近めの総合病院です。上記のR病院とのやりとりの後、主治医からFAXを送ってもらい受診の日程連絡を待っていたのですが、お断りの連絡がありました。R病院から電話して頂いたときは担当の先生(おそらく形成外科医)がおられず、皮膚科の先生がとりあえず形成外科の先生に診察してもらうとの回答をしていたのでしょう。J病院は形成外科が週一回の非常勤の先生(大学教授)でその先生ができないと判断されたと思われ。
 自分がJ病院を候補外にしていた大きな理由はそこでした(形成外科が非常勤というところ)。必ずしも非常勤だから褥瘡手術はしない、ということはないそうですが。
 それで話にケチがついてR病院での手術は不可となりました。R病院の退院後のケアは現在入院中のM病院で観ると主治医がおっしゃったのですが、時すでにお寿司だったようです。

◆S病院(→受診済、転院予定)
 R病院と同じく隣の県の大きな病院です。実は2009年に別の場所の褥瘡を治療してもらいました。さらにそこの現在の形成外科の先生は以前R病院でケロイド(脊髄損傷を負ったときの事故で顔にできた)の手術をしてもらった先生でした。なお、当時のS病院の先生は遠方の他県の病院に転勤されました。
 S病院の受診の結果、手術可能でした。なお、今回は退院後のケアは入院中のM病院でする、ということであらかじめ話はつけてもらっていました。ただし、今回の手術はストーマ(人工肛門)にしないと成功の確率は低いとのことでした。便による褥瘡部の汚染とか摘便時に便器で褥瘡部にかかる圧力がまずそう、とのことで。ざっくりとストーマにすれば8割、しなければ3割の成功率。失敗すればどんどん選択肢が減る(皮弁手術で引っ張ってくる皮膚がなくなる)、とのことでした。
 3割は望みが薄すぎるので却下です。ストーマは体力が落ちて摘便がきつくなるであろう将来には考えていましたが、まだやりたくなかったので一旦保留にさせてもらいました。一時的なストーマという選択もありますが、どうせやるなら永久ストーマにしたいですし(気が変わったらもとの肛門にもどせるそうですが)。望みは薄そうですが、ストーマなしで褥瘡治療が可能なところをもう少しだけ当たることにしました。それで探せなければあきらめもつくだろうし。
 なお、S病院の先生はR病院の先生とも相談されたそうで、R病院ではストーマにしなくても良いのでは、との考えだったそうです。
 労災の手続きとして今回の受診に必要な様式16-4「療養給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」は準備が間に合わなかったので診察料は一旦自己負担となりました(8,260円)。後から同書類と領収証を共に当病院に持ってくれば返金されるそうです。

◆F病院(→受診拒否)
 隣の市の大きな総合病院です。脊髄損傷を負った事故のときに最初に運ばれて1か月半入院していた病院でもあります。ストーマなしという前提で主治医にFAXを送ってもらいましたが、受診も断られました。なんとなく同病院のホームページからも予想していました。

◆O病院(→受診拒否)
 R病院、S病院と同じく隣の県の大きな総合病院です。ストーマなしでという前提で主治医にFAXを送ってもらいましたが、受診も断られました。なんとなく同病院のホームページや役割(急患優先)からも予想していました。

3. 今後の褥瘡治療の進め方

 ということでストーマ造設には抵抗ありますが、転院先探しにもう疲れたし、いつまでも治らないまま入院していられないし、何かのご縁だろうということでストーマにしてから褥瘡治療をしてもらうことにしました。ストーマ使用者であることを公開し、芸能活動や社会活動で大活躍され、先日亡くなられた渡哲也さんにも勇気をもらいました(今のところ渡さんのされていた洗腸という高度なストマ管理まではやろうと思うガッツが自分にはありませんが)。
 ストーマ手術はS病院でも入院中のM病院でも可能とのことでこれもどちらでやってもらうか悩みましたが、M病院でやってもらうことにしました。S病院ならストーマ手術後そのまま褥瘡手術とすっきりした流れなのですが、S病院だと早く退院させられそうだし、ストーマ手術前にまた受診必要そうだし(片道2時間)、おそらくストーマ手術をするのは外科でありそこで最近医師が逮捕されていたし。可能性は低そうですがM病院でストーマ手術後、便汚染がなくなったり摘便の停止により創部への加圧が減り、褥瘡が良くなり転院不要になるかもしれないし、自宅に戻ってからのストーマの相談にも都合良さそうだし。

 以上、ストーマ手術をすることになった経緯とかでした。