車椅子ユーザージョナサソのおまけの人生

脊髄損傷を負い車椅子利用者になった男やもめの一人暮らしとか

2012春 第70期名人戦七番勝負第1局 森内俊之名人vs羽生善治二冠

 やっとこの時期がやってきた。名人戦である。今年が400年目らしい。森内名人に挑戦するのはA級リーグ9戦全勝で挑戦権を得た羽生二冠。森内名人は昨年度は公式戦11連敗で勝率も3割台であった。名人としては負けすぎ、好調の羽生二冠とは対照的である。

 振駒の結果、先手は森内名人となった。この二人の対決では先手が勝率が高い。特に森内名人の先手かつ名人戦、リーグ戦での強さは有名。戦型は相矢倉。前例から手を変えたのは個人的には意外であるが羽生二冠。攻めて優勢を築いていた名人が確実だが緩手っぽい手(▲1六歩)を指した後、羽生二冠が逆襲。素人目には羽生二冠ペースに逆転したかと思われたが、名人は完璧に受け切り、攻め駒を蓄え、絶妙なタイミングで再度攻め、終わってみれば完勝だった。緩手っぽい手も緩手でなく、入玉を防ぐ必要かつ効果的な手であった。

< ↓ 投了図 先手1一龍まで >
将棋第70期名人戦七番勝負第1局の投了図

 ここまでの不調はなんだったのかと思うくらい強かった。羽生二冠の攻めを受け切り、心を折るような勝ち方だった。将棋の強さは言うまでもないが、3割名人とか手抜きとか姑息とか言われながらもここ一番で勝つ準備をする心の強さが実は最も着目すべきところかもしれない。批判していた者も羽生二冠相手にこれだけ名人らしく完璧な差し回しでの勝利を見せられると文句も言えないようだ。

 実に嬉しい。私もここ一番で勝てる男になりたい。森内名人のおかげでもう少し生きていけそうだ。